ONE瀬戸内 JOURNAL 瀬戸内で生まれている、人・海・食・地域の物語。

多度津高校でアカエイ給食の授業|高校生と考えるシージビエの未来

2026年09月17日 22:37

アカエイを、みんなが食べたくなる給食へ。
多度津高校で「未来の給食」を考えた50分


2026年9月17日、多度津高校の食品課の生徒のみなさんに向けて、
アカエイをテーマにした授業を行いました。


この日のテーマは、「アカエイを、みんなが食べたくなる給食へ。」

ただアカエイについて知る授業ではありません。

というのも、来年の秋には、高校生が考えたレシピをもとにしたアカエイ料理を、地元の小中学生へ給食として届ける計画があ流ので今日はその第一歩として頭の体操となる授業。


今日考えた一皿が、いつか地域の子どもたちの給食になるかもしれない。

そんな未来につながるワクワクする50分でした。

なぜ、いまアカエイなのか?

授業の前半は、少し大きな話から始めました。

これから世界的にたんぱく質の需要が増えていく中で懸念されている「プロテインクライシス」。

私たちが普段食べている肉や大豆などのたんぱく源の多くを、海外からの供給に頼っていることについても紹介しました。一時期、昆虫食などの話題をニュースで目にした方もいるかもしれません。


でも、視線を少し変えてみると、私たちのすぐ近くの海にも、まだ十分に生かされていない食資源があります。

それは私たちがシージビエと呼んでいる低・未利用魚のひとつ、アカエイです。

食べられる魚なのに、今では食卓で出会う機会はそれほど多くありません。

一方で、地域の方に話を聞くと、昔は味噌汁や煮物などにして食べていたという話も聞きます。

つまりアカエイは、「新しく食べ始める魚」というより、一度遠ざかってしまった食文化を、もう一度見つめ直す魚なのかもしれません。

授業では生徒のみなさんに、「身近にある国産のたんぱく源なのに、食べないのはもったいないんじゃない?」

と問いかけました。シージビエが考えていることも、まさにここにあります。


「食べられない魚」ではなく、まだ食べ方や価値が、十分に知られていない海の恵みなのではないか。

そんなところから、アカエイについて考え始めました。

見る魚から、「食材」として見る魚へ

授業では、アカエイの栄養や、それぞれの部位についても紹介しました。

身は高たんぱく・低脂質。

さらに肝、皮、軟骨など、部位によってそれぞれ違った特徴があります。

とはいえ、「アカエイ」と聞いて、すぐ料理を思い浮かべられる人はまだ多くないでしょう。

大人なら「エイヒレなら食べたことがある」という方もいるかもしれません。

でも、

魚として見る。

食材として見る。

そして、

「自分なら、どう料理する?」

と考えてみる。

その瞬間から、アカエイの見え方が少し変わってきます。

そして後半、高校生にバトンタッチ

授業後半は、グループワークです。

テーマは、

「小中学生が食べたくなるアカエイの給食メニュー」

最後には、各グループから考えた料理を発表してもらいました。


出てきたのは

アカエイのカツ。

アカエイのナゲット。

アカエイのすり身グラタン。

アカエイだんごの麻婆風。


これが、とても面白かった。

私たちが考えると「アカエイだから珍しい料理をつくろう」と考えがちなんですが

そうではなかったんです。


カツ、ナゲット、グラタン、麻婆。


どれも子どもたちにとって、どこか馴染みのある料理です。

高校生たちは、アカエイを特別な食材として遠ざけるのではなく、

いつもの料理の中に、自然に入れようとしてくれました。


「知らない魚を食べてもらう」ではなく、

「これ、おいしいね。……実はアカエイなんだよ」


そんな順番でもいいのかもしれません。

これは、私たちにとっても大きな発見でした。

「おいしい」だけでは、給食にならない

もちろん、アイデアが生まれたらすぐ給食になるわけではありません。

学校給食には、

アレルギーへの配慮。

原価。

塩分量。

大量調理のしやすさ。

そして何より、子どもたちがおいしく食べられること。

いくつもの条件があります。


だから、今日生まれた4つの料理も、ここからがスタートです。


「もっと食べやすくするには?」

「給食室でつくれる料理にするには?」

「小学生だったら、どんな味が好きだろう?」

これから高校生のみなさんと、ひとつずつ考えていきます。

私たちは、この考えることの過程そのものが大切だと思っています。

昔食べられていた魚を、これからの子どもたちへ

地域では昔、食べられていたアカエイ。

その魚を今、高校生がもう一度「食材」として見つめています。

そして、その高校生が考えた料理を、今度は地域の小中学生が食べる。

もしそこで、「アカエイって、おいしいんだ」

という記憶がひとつ生まれたら。


それは単に、新しい給食メニューがひとつ増えたということではないと思います。

地域の海と食卓の距離が、ほんの少し近くなる。


昔あった食文化が、今の料理になって、次の世代へ渡っていく。

そんな循環が生まれるかもしれません。

昔食べていた人も思わず、こんな料理あったんだって驚くかも?!

海の「もったいない」を、未来のごちそうへ

シージビエは、まだ十分に活用されていない海の恵みを、新しい食文化や地域資源として、みんなで楽しみながら育てていく取り組みです。

だから、主役は魚だけではないんです!

魚を獲る人。

料理する人。

学ぶ人。

考える人。

食べる人。

そして、その土地で暮らす人。


今回、多度津高校のみなさんから生まれた4つの料理も、その物語のひとつです。

アカエイがいつか、「ちょっと珍しい魚」ではなく、「給食で食べたことあるよ」

と言われる魚になるのか。

来年の秋に向けて、ここから高校生のみなさんと一緒に考えていきます。

海の「もったいない」を、未来のごちそうへ。

その一歩が始まった時間になったと思います。

今回生まれた「アカエイ給食」アイデア

アカエイのカツ
アカエイのナゲット
アカエイのすり身グラタン
アカエイだんごの麻婆風


あなたなら、どれを給食で食べてみたいですか?