
多度津高校でアカエイ給食の授業|高校生と考えるシージビエの未来
2026年09月21日 23:22
アカエイを、みんなが食べたくなる給食へ。
多度津高校で「未来の給食」を考えた50分

2026年9月17日、多度津高校の食品課の生徒のみなさんに向けて、アカエイをテーマにした授業を行いました。
この日のテーマは、「アカエイを、みんなが食べたくなる給食へ。」
今回は、ただ、アカエイについて知る授業ではありません。
多度津高校では、来年の秋に、アカエイを使った給食のレシピを高校生が考え、地元の給食センターと協力して幼稚園や、小中学生へ提供する計画が進んでいるのです。今日はその第一歩として頭の体操となる授業を依頼されました。
今日考えた一皿が、来年の秋には、地域の子どもたちの給食になるかもしれない。
そんな計画につながるワクワクする50分でした。
プロテインクライシスとアカエイとの関係
授業の前半は、少し大きな話から始めました。
テーマは、将来の「たんぱく質不足」から、地域の海を考えることです。
授業では、アカエイについて学ぶ前に、世界的なたんぱく質需要の増加によって、将来的に安定した、たんぱく源の確保が課題となる「プロテインクライシス」について紹介しました。
日本では、肉そのものは国内でも生産されていますが、その生産に必要な飼料の多くを海外に依存しています。農林水産省の2025年度のデータでは、輸入飼料による生産分を除いたカロリーベースの自給率は、牛肉13%、豚肉5%、鶏肉7%となっており、日本全体の飼料自給率も24%にとどまっています。
また、大豆についても、2024年度の国内自給率は7%で、9割以上を海外からの供給に依存しています。
こうした現状を伝えたうえで、生徒たちに問いかけました。
「私たちのすぐ近くの海に、まだ十分に活用されていない国産のたんぱく源があるのに、それを活用しないのは、もったいないのではないか?」
その一つが、アカエイをはじめとする「シージビエ」です。
これまで十分に利用されてこなかった魚を、単に「未利用魚」として見るのではなく、地域で得られる貴重な食資源・国産たんぱく源として見直すこと。今回の授業では、シージビエを、海の課題を解決するためだけではなく、これからの食や食料の安定供給について考えるきっかけとして紹介しました。
栄養があって、美味しい魚なのに、今では食卓で出会う機会はそれほど多くありません。地域の方に話を聞くと、昔は味噌汁や煮物などにして食べていたという話を聞きます。
つまりアカエイは、「新しく食べ始める魚」というより、一度遠ざかってしまった食文化を、もう一度見つめ直す魚と言えます。
授業では生徒のみなさんに、「身近にある国産のたんぱく源を、食べないのはもったいないんじゃない?」
と問いかけました。シージビエが考えていることも、まさにここにあります。
「食べられない魚」ではなく、まだ食べ方や価値が、十分に知られていない海の恵みなのではないか。
そんなところから、アカエイについて考え始めました。
見る魚から、「食材」として見る魚へ
授業では、アカエイの栄養や、それぞれの部位についても紹介しました。
身は高たんぱく・低脂質で、アスリートフードとしてお馴染みのささみと同等です。肝臓は、あん肝やマイワシを凌ぐDHAを持ち、皮にはコラーゲン、軟骨にはコンドロイチンなど、部位によってそれぞれ違った特徴があり、栄養価も素晴らしい
数字を持っています。
とはいえ、「アカエイ」と聞いて、すぐ料理を思い浮かべられる人はまだ多くないでしょう。
大人なら「エイヒレなら食べたことがある」という方もいるかもしれません。
でも、
魚として見る。
食材として見る。
そして、
「自分なら、どう料理する?」
と考えてみる。
その瞬間から、アカエイの見え方が少し変わってきます。

そして後半は、高校生にバトンタッチ
授業後半は、グループワークです。
テーマは、
「小中学生が食べたくなるアカエイの給食メニュー」
最後には、各グループから考えた料理を発表してもらいました。
出てきたのは
アカエイのカツ。
アカエイのナゲット。
アカエイのすり身グラタン。
アカエイだんごの麻婆風。
これが、とても面白かったんです!
私たちが考えると「アカエイだから珍しい料理をつくろう」と考えがちなんですが
そうではなく、カツ、ナゲット、グラタン、麻婆。
どれも子どもたちにとって、どこか馴染みのある料理です。
高校生たちは、アカエイを特別な食材として遠ざけるのではなく、
いつもの料理の中に、自然に入れようとしてくれました。
「知らない魚を食べてもらう」ではなく、
「これ、おいしいね。……実はアカエイなんだよ」
そんな順番でもいいのかもしれません。
これは、私たちにとっても大きな発見でした。
「おいしい」だけでは、給食にならない
もちろん、アイデアが生まれたらすぐ給食になるわけではありません。
学校給食には、
アレルギーへの配慮。
原価。
塩分量。
大量調理のしやすさ。
そして何より、子どもたちがおいしく食べられること。
いくつもの条件があります。
だから、今日生まれた4つの料理も、ここからがスタートです。
「もっと食べやすくするには?」
「給食室でつくれる料理にするには?」
「小学生だったら、どんな味が好きだろう?」
これから高校生のみなさんと、ひとつずつ考えていきます。
私たちは、この考えることの過程そのものが大切だと思っています。
昔食べられていた魚を、これからの子どもたちへ
地域では昔、食べられていたアカエイ。
その魚を今、高校生がもう一度「食材」として見つめています。
そして、その高校生が考えた料理を、今度は地域の幼稚園、小中学生が食べる。
もしそこで、「アカエイって、おいしいんだ」
という記憶がひとつ生まれたら。大人になってもきっと食べてくれると思います。
それは単に、新しい給食メニューがひとつ増えたということではないと思います。
地域の海と食卓の距離が、ほんの少し近くなる。
昔あった食文化が、今の料理になって、次の世代へ渡っていく。
そんな循環が生まれるかもしれません。
昔食べていた人も思わず、こんな料理あったんだって驚くかも?!
海の「もったいない」を、未来のごちそうへ

シージビエは、まだ十分に活用されていない海の恵みを、新しい食文化や地域資源として、みんなで楽しみながら育てていく取り組みです。
だから、主役は魚だけではないんです!
魚を獲る人。
料理する人。
学ぶ人。
考える人。
食べる人。
そして、その土地で暮らす人。
今回、多度津高校のみなさんから生まれた4つの料理も、その物語のひとつです。
アカエイがいつか、「ちょっと珍しい魚」ではなく、「給食で食べたことあるよ」
と言われる魚になるのか。
来年の秋に向けて、ここから高校生のみなさんと一緒に考えていきます。
海の「もったいない」を、未来のごちそうへ。
その一歩が始まった時間になったと思います。
今回生まれた「アカエイ給食」アイデア
アカエイのカツ
アカエイのナゲット
アカエイのすり身グラタン
アカエイだんごの麻婆風
あなたなら、どれを給食で食べてみたいですか?